山のいただきにねそべったりゅうのからだは 
らんぼうにうろこをはがされて あちこち血がにじんでいました

いたくないの?
からすの子がたずねると

ねがいがかなってうれしそうなみんなのえがおをみるのが
ぼくはとてもしあわせなんだ

りゅうは目をほそめてわらいました

からすの子は行列のおしりにならぶことにしました
そのうしろにも すぐひとびとがつづいていきます
ふとみると 前にならんでいる人間のかばんには
りゅうのうろこがなんまいも入っていました

なに ひとりひとりのかおなど あんなりゅうがおぼえられるものかね

人間はずるそうに笑っていいました
ふるさとへ帰れば うろこはとても高いねだんで売れるのだそうです

まわりをよくみると
お金もちなのにもっとお金をほしがっているひとや
おべんとうをいくつもたいらげながら
やせたいやせたいといっているひとや そんなひとだらけです

それでもりゅうは ただ しずかに わらっていました

そのうちに りゅうはすっかりうろこをはがされて
うまれたてのとりのひなのようになってしまいました

人間たちはそれをみて なあんだ もううろこはないのか 
せっかくならんだのに 時間をむだにしてしまった と
おこりながらかえっていきました

りゅうは からすの子のすがたをみると
すこし いたずらっぽく笑って
あごの下にかくしていたうろこをさしだしました

きみのためにとっておいたよ
これがさいごのいちまいなんだ

+まえ+      +もどる+     +つぎ+

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